企業にCO2賦課金、28年度ごろ導入へ 経産省方針
経済産業省は14日、企業の二酸化炭素(CO2)排出に課金し排出削減を促すカーボンプライシングを巡り、化石燃料を輸入する企業に対して2028年度ごろから燃料ごとの排出量に応じた賦課金の支払いを求める方針を固めた。電力・ガス、石油元売り、商社などを想定し、当初は低い負担で導入し、徐々に引き上げる。
14日にカーボンプライシングの導入について検討する審議会を開いて導入時期を示し、異論は出なかった。月内に開く政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議に報告する。
カーボンプライシングとして企業がCO2削減量を売買する排出量取引も組み合わせる。23年度から自ら参加を決めた企業が取引できる市場を試行的に始める。26年度ごろから本格化させ、企業の排出削減目標が政府の削減目標と合致しているか第三者機関が認証する仕組みを取り入れる。
33年度ごろからは参加する電力会社に対し、有償オークションを段階的に導入する。CO2を排出した分だけお金を払って買い取らせる仕組みで、規制強化によって火力発電所を抱える電力会社に排出削減対策を求める。
政府は脱炭素の実現に向けて今後10年で官民合わせて150兆円超の投資が必要になると見込んでいる。20兆円規模の新たな国債「GX経済移行債(仮称)」を発行してお金を集め、企業の投資を支援する。カーボンプライシングで得られる歳入を償還財源とし、脱炭素の目標とする50年までに償還を終える計画。
賦課金と排出量取引のいずれも小さな負担から始める。本格化は30年代に入ってからになる。当面の負担が軽くなることで企業に排出削減対策を迫る効果が低くなる恐れがある。
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