OECD、世界成長予想引き上げ 回復脆弱と警告

OECD、世界成長予想引き上げ 回復脆弱と警告
 経済協力開発機構(OECD)は17日、インフレ圧力の緩和で世界経済の見通しが数カ月前より改善したとし、世界の成長率予想を上方修正した。写真は中国・河北省邢台市のタイヤ工場。2019年5月撮影(2023年 ロイター/Jason Lee)
[パリ 17日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は17日、インフレ圧力の緩和で世界経済の見通しが数カ月前より改善したとし、世界の成長率予想を上方修正した。ただし金利上昇でリスクは高止まりするとの見方も示した。
昨年3.2%だった世界の成長率は、今年は2.6%と予想。エネルギー・食品価格の低下や中国の「ゼロコロナ」政策撤廃を指摘し、昨年11月の予想2.2%から上方修正した。
2024年の予想も2.7%から2.9%に引き上げた。
20カ国・地域(G20)のインフレ率は昨年の8.1%から今年は5.9%に、24年には4.5%に低下すると予想した。ただそれでも多くの中央銀行の利上げにもかかわらず、なお物価目標を大きく上回る。
OECDは、利上げの完全な影響を測るのは困難とした上で、米シリコンバレー銀行の破綻を一例に、借り手の負担増大が一部銀行の損失につながる可能性を指摘した。
シリコンバレー銀など米銀の破綻や、クレディ・スイスの経営不安で金融市場が混乱する中、欧州中央銀行(ECB)は16日、インフレ対応を優先し0.5%ポイントの利上げを決定した。
OECDは、中央銀行の政策金利の最終到達水準について、米国が5.25─5.5%、ユーロ圏と英国は4.25%と予想。向こう2年にインフレが低下し、来年には一部の国で「穏やかな」緩和の余地が生まれるとの見方を示した。
米国の成長率予想は今年が1.5%、来年は0.9%。金利上昇が需要を冷やし成長が減速するとみる。労働市場が予想以上に堅調なことから、今年の予想は昨年11月の0.5%から引き上げたが、来年の予想は1.0%からわずかながら下方修正した。
中国の成長率予想は、ゼロコロナ政策廃止を受け上方修正した。今年の予想は5.3%、来年が4.9%。昨年11月は今年が4.6%、来年は4.1%と予想していた。
ユーロ圏の見通しもエネルギー価格下落で改善した。成長率予想は今年が0.5%から0.8%に、来年は1.4%から1.5%に引き上げられた。
日本の成長率は、今年が1.4%、来年は1.1%と予想。今年の予想が1.8%から下方修正される一方、来年は0.9%から上方修正された。

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